「伊賀ずきん」の単行本カバーについている和歌を元に書いてみましたシリーズ。
ここは歌の作者・現代語訳。「進む」をクリックすると本文。
凡河内躬恒:古今集巻一・春歌上
<訳>
春の夜の闇は不条理なものだ
花の色を隠して見えなくしても、香がどうして隠れるものか
柿本人麻呂:万葉集 二巻 133番歌
<訳>
笹の葉は山全体もさやさやとそよぐようにそよいでいるけれども
私はひたすら妻のことを思っている、別れて来てしまったので。
柿本人麻呂:歌集十巻 2314番歌
<訳>
巻向の桧の原にもまだ雲がかかっていないのに
松の枝先を沫(泡)雪が流れるように降っている。
紀貫之:拾遺64
<訳>
桜が散る木の下を吹く風は寒くはないが、
空には知られていない雪、落花の雪が降っている。