春宵香梅
春の夜の
闇はあやなし
梅の花
色こそ見えね
香やは隠るる

今は昔の世は戦国
闇に忍ぶる乙女あり

朧の月夜に
ひた走る
気配はあれど
姿は見えず

梅の香薫る春宵は
少女を闇にとかしゆく

忍に生まれ
闇に生き
その身に負うは
遂ぐべき務め

されど

花を愛で
世の美を愛する
心まで

どうして
闇が隠せよう

今宵春宵、朧闇

ただ色もなく

香は薫る
あとがき
たとえ暗闇に覆われても梅花がその香を失わないように、忍の生きる闇の中でも心は捨てない伊賀ずきん。…とかどうでしょう?
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