血沫雪花
桜散る
木のした風は
さむからで
空に知られぬ
雪ぞ降りける


赤い飛沫が散る


陽の光にきらきらと
輝くそれはまるで雪片

鮮やかな色彩を
放つそれはまるで花弁

欲にまみれた両手で
ひとつ、またひとつ

えぐり出すのは

――紅い宝玉



人知れず音も無く

罪もなく数知れず

眼前で絶えゆく鼓動


いっそ自分の名のごとく
儚く散ってくれればと
人に生まれぬ運命を呪う



刃つきたて
散らばる破片は雪のよう

心えぐられ
舞い散る飛沫は花のよう



桜木の下、風は温い

――こんな陽気の春の日なのに

降り注いでは
辺りを覆う

降り積もっては
周囲を染める


空も知らない


――鮮血の雪


あとがき
人知れず存在し人知れず乱獲される「紅璃」。
そこに消えた命と散った血潮は まるで輝かしい雪の花・・・とかどうでしょう?
あのほのぼのした桜さんのイラストからこんなものを書いてしまう私はおかしいかもしれない(今さら)
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