White christmas
※読む前でも後でもいいので五巻 「其ノ三十一 忍 聖夜を祝う語」を改めて見てみましょう。 レオが絡むとどれぐらいつづみが盲目になるのかわかって 少しおもしろいと思います。 すでに気づいていたという方は可哀想なものを見る目でどうぞ。 十二月二十四日、クリスマス・イブ。 成り行きでクリスマスパーティーが開かれたここは、 キリスト教と縁もゆかりもない伊賀の里。 長年の恨みもさっぱり水に流し(?)すっかり長居をしてしまったレオであるが、 いつかのトラウマ未だ健在、暗い所はどうしても怖い・・・ ということで帰るに帰れず今夜は伊賀にお泊りとあいなった。 「レオさーん、お風呂沸きましたよー、入浴習練場までご案内しますね」 「?ニューヨクシュウ・・・?」 「つまりは風呂場です」 「あ、雨・・・」 浴場への道すがら、雨がぽつぽつと振り出した。 「・・・雪だったらよかったノニ」 「はい?」 「生臭いリースにお正月気分のツリー、挙げ句の果て 仏壇用キャンドルで納豆食べるクリスマスって・・・ もはや何のお祭りなのか・・・」 年に一度、神聖なキリスト教のお祭りだというのに、 それらしさは微塵も感じられない。 自分だってその神聖な祭りを復讐に利用しようとしていたのだから、 大きなことは言えないのだが。 「まあ、和製ということで・・・でもそれと雪とどういう関係が?」 「和製にもなりきれてない気がしますガ・・・ 西洋ではクリスマスの日に雪が降ったり積もったりするのを 『White Christmas』と言うのデス。 Whiteは白・・・つまりは雪の色のクリスマス、といったところでショウカ。 白は純粋や無垢を意味しますから、雪が降ることで 聖夜の神秘性がよりいっそう増すのデス」 「なるほどー、ホワイトクリスマスですか」 「だカラ、雪でも降れば少しはクリスマスらしくなると思ったのデスが ・・・まぁ、場所が場所ですカラ仕方ナイ・・・ あ、ここですネ」 「はい、ごゆっくりどうぞー」 「ホワイトクリスマス、雪色の聖夜かぁ・・・ なんだかすごく乙女ちっくな響き・・・・・・。」 火を調節し終え、来た道を戻りながら、 伊賀ずきんはレオが言っていたことを反芻していた。 これが雪だったら・・・ 「あ、そうだ」 何を思いついたのか知らないが、ぽん、 と手を打ち、その足である場所へと向かう。 雨を先ほどより少し強め降らせて、イヴの夜は静かに更けていった。
まず初めにさよのさんが気づいてただろうにな。恥さらしも続きマスですよ。
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