お客様は神様です。
パンッ 「レオさんのくせに生意気ってなんでスカ生意気って生意気って生意気って」 パパパンッ 「ひぃーっ」 パーンッ 銃声と共に響く少年と少女の怒声と悲鳴。 「そんなに銃乱射して他人に当たったらどうするんですか!」 「逃げる貴女が悪いのデス!」 「んな無茶なっ」 パーンッ 屋敷内は無数の銃痕と、それに応戦して投げられた忍具が刺さって、戦場さながらの光景だった。 「富士山っほうきっ三段ばしごっ」 「・・・」 一方こちらは満面の笑みを浮かべた伊賀ずきん(E)と念願のあやとりを楽しむ風魔党首領。 陰を背負っているのを見るとあまり満足していないようである。 「伊賀ずきん・・・(F)」 近い距離であの笑顔が見たい、という今日の目的は、 今月の話しの流れからしてどうやら果たせそうに無い模様である。 パンッ 「いい加減に大人しくしてくだサイ!」 「お断りします!レオさんこそいー加減にして下さい!」 あきらめかけたその時、銃声に交じって聞こえたのは片言の日本語と、聞き慣れた、聞きたかった少女の声。 「危ないっ!」「!」 急いで声のする方へ駆け出すと、耳元を何か鋭いものがかすめた。 間一髪避けた反射神経の良さは、さすが盗賊、といった所か。 「ちっまた外しましタカ」 「てか当たってたらどうするんですかっ!・・・あれ?」 見れば、銃弾を避けた人物には見覚えがあったようで。 「風魔・・・小太郎?」 ―やっと、会えた。 「・・・伊ー賀ーずきーんっ」 「に゛ゃーっ」 小太郎が歓喜のあまり抱き付くと、抱き付かれた方は当然の事ながら大声で叫ぶ。 「友達だから遊びにきたっ!会いたかったぞー」 「は、離して下さいーっ今追われてるんですっ」 「・・・追われてる?」 じろっと動かした目線の先には流れに乗れず混乱している南蛮人の少年がいた。 「・・・ふっ、ふふふふふ」 暴れる伊賀ずきんを放すと、怪しげな笑いを浮かべつつレオに近付いていく。顔に影が入っていて非常に怖い。 「お前のせいかっ!」 ビシッとレオを指差しながら言った。 「な、何がでスカ!」 いきなり指差されたレオには何の話かわかる訳も無く。 「お前が伊賀ずきんと遊んでたから俺はあの新キャラに振り回され、恥ずかしい思いまでして報われないで・・・」 レオの襟首を掴む勢いの風魔小太郎。珍しく他人に振り回され、相当ご立腹だったようである。 「あの、何の話・・・」 その時シャー芯を買いに行っていた伊賀ずきんもまた同様に話しが飲み込めていない訳で。 「しかも二人で鬼ごっことは・・・」 残された銃弾や刃物を見る限り砂浜でカップルがやるような平和なものにはとても見えないのだが、 それはあまり関係無いようである。 「いや、だから遊んでな・・・」 「俺も交ぜさせてもらう・・・(伊賀ずきんが追われてるって事は)お前、鬼だな」 「!それ禁句ーっ!!」 伊賀ずきんの突っ込みも時既に遅し。 プチン 「鬼・・・今鬼と鬼と鬼と・・・」 ぶつぶつと呟く迫力は先ほどの小太郎のそれに負けてはいない。 「?鬼じゃないのか」 ―追い撃ちである。 ぶちぶちっ 「てっきり鬼だと・・・」 ―ダメ押しである。 ぶちんっ 「KILL!誰だか知りませんがミス・ゴールド共々天に召してあげマショウ!」 ぱーんっ 三巴の鬼ごっこ、ここに開戦。 パーンッ 屋敷内を逃げ回る二人の背後からは、先程より数を増した銃弾がブツブツとした呟きに乗って迫ってくる。 ちょっとしたホラー。 「もーっ更にややこしい事になっちゃったじゃないですか」 パパパンッ 弾を避けつつ四方手裏剣を投げ返すのは、もはや自分が何故追われてるかもわからない伊賀ずきんである。 一方、事態を引き起こした小太郎は余裕で、ひょいひょいっととんでくる弾を身軽にかわしながらも 伊賀ずきんに当たらぬよう自分の方に引き付けたりしている。 パパンッ 「KILLKILLKILL・・・!」 「斬る斬る斬るって言ってるくせに、あいつ撃ってるじゃないか。日本語わかってんのか?」 「何をのんきな事いってんですか!どわーっ」 パパンッ 「御自分の発言を後悔させてあげマス!」 パンッパパパパンッ 「種子島ねぇ・・・さすが南蛮人。珍しいものを持ってるなー」 「だから何を・・・」 「今度は南蛮寺にでも盗みに行くか、一緒にどうだ?」 「お断りします。」 ブチッ 「余裕こいてんじゃネェェェー!!!!」 ババババババッ 「レオさん語調変わってますよ!!?」 傾き出した陽射しが、壁に刺さった手裏剣に反射し天井裏に幾重もの光の筋を残していた。
レ、レオのキャラが壊れ(今更や)
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