果たし状の君
伊賀ずきん  積年の恨みヲ晴らすべく、決闘を申し込ム。本日午後川沿いの大杉の下にて待ツ。  レオ=ミヤマリョーノ 「・・・これは、いつかの南蛮忍者からか」 零蔵は手にした書状をさらりと通読して、元のようにたたんだ。 「何があったか知らんが、執念深い事だ」 南蛮人を鬼と差別し、排除する日本人に対し恨みがあるらしいが、 それで何故こうも伊賀ずきんにこだわるのか・・・。目的が別にあるような気がしなくも無い。 「さて、どうしたものか・・・おや?」 「お呼びですか、零蔵様」 障子を開けて入ってきたのは伊賀ずきんと呼ばれる内の一人であった。 「うむ、実は・・・」 お前宛に手紙が届いている、と言いかけて、黙った。少し考えて言う。 「0.5oのシャー芯がきれたらしいので買ってきてくれ」 「シ、シャーペン持ってるんですか!?」(師匠のライターといいこの親子は・・・) 今は昔の世は戦国です!という少女のツッコミを無視して続ける。 「くれぐれも大杉の近くには近づかないように、あの付近で盗賊の目撃情報もあったことだしな」 「ええっ盗賊!?・・・はい、分かりました。絶っ対近づきません」 そう力強く言う少女に苦笑をもらして頭をぽん、と軽く叩いた。 「ではいってきまーす」 「寄り道するんじゃないぞ」 大杉のない道から少女を送り出すと、零蔵はぽん、と手を打った。 「お呼びですか、零蔵殿」 「なにかありましたかの?」 野太いものやしわがれたもの、数人のものと思われる声が背後から現れる。 「うむ・・・ お前『達』 宛てに果たし状が届いている」 「!!!まことですか!?して相手は・・・」 「『伊賀ずきん』に何やら恨みを持つ南蛮忍者らしい。 理由はわからんが・・・放っておくのも危険やもしれぬ。 売られたケンカは買うのが道理・・・ ここで負けては伊賀忍者の名折れだ」 「はっ」 「しかし相手は南蛮人、どんな奇怪な術を使うかわからぬ。 ゆめゆめ油断する事など無いように行って参れ」 (※テキスト翻訳:全力で殺って来い) 「かしこまりました!!!」 ざっとたちまちの内に姿を消した伊賀ずきん(複数)を見送り、 零蔵は手元の書状を見やる。 「・・・『ミス・ゴールド』と書いておけば届いたかもな。ご愁傷様」 午後になって、伊賀の里にズタボロの金髪少年がやってきたのは、また別のお話。
天然腹黒最強中忍・服部零蔵。とりあえずFをレオのもとへ促すときの表情は確信犯だと思いますが。